昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

ワインと僕

 僕は中学2年の2学期の終わり学校帰りにワインを買った。我が町に酒屋が無かったので農協で買った。農協のおばさんは不審な顔をしていたが親に頼まれたと言った。

 じいちゃんばあちゃんも酒が大好きで、我が家系は呑兵衛が多くアルコールに対しては割と寛容だった。親戚が来るとお茶よりもまず酒を出していた。僕も小さい頃から飲むかと良く言われて育った。母さんだけが馬鹿なことを言ってるじゃないのと怒っていた。

 ある時、ファミリードラマでワインを飲んでいるシーンがあった。赤玉ポートワインのコマーシャルもしていた。クリスマスや年末の時期と重なり何故か気になり飲んでみたかった。赤玉ポートワインは甘くて飲みやすく子ども用かなと思ったが、アルコール度数が意外に高かった。家に誰かに貰ったワイングラスがあった。ドラマのシーンを連想しレコードを聴きながら一杯飲んだ。曲は小柳ルミ子さんのお祭りの夜だった。僕は飲み終えると真っ赤になり寝込んでしまった。家族は誰も何も言わなかった。

 ワインは飲まずにしばらくそのままにしていた。

 ある時飲もうとしたらワインは空だった。

 兄ちゃんに全部飲まれていた。