昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

じいちゃんと僕

 僕のじいちゃんは明治生まれの頑固者で怖かった。小さい頃、じいちゃんの怒りを買い半日追い掛けられたことがある。僕がごめんねと謝って許してもらった。何が原因だったかわからないが。でも小学校の頃、習字や絵やテストで良い点をとるともの凄く褒めてくれた。テストで悪い点をとっても褒めてくれた。

 じいちゃんは深酒はしないがお酒が好きだった。我が町には飲み屋がなかった。自宅で毎晩、晩酌にコップ一杯の焼酎を飲んで満足げだった。酒がないと御飯が進まないと言っていた。夏は褌一丁の格好で焼酎を飲んでいた。褌の横から一物が見えていたがへっちゃらだった。僕は明治生まれの男は凄いなと思った。褌はばあちゃんにしか洗わせなかった。僕の母さんはホッとしていた。

 中学生の頃、家族が遅くまで農家の仕事をしていたので僕がじいちゃんの夕食の準備をした。僕は料理を作るのが少し好きだったが、いつも作る料理は同じ内容だった。不味いものもあっただろうと思うが、じいちゃんは何も文句を言わずうまいうまいと全て平らげてくれた。

 じいちゃんは相撲が好きだった。煙管をくわえ、ばあちゃんと同じ刻みタバコのききようを吸いながら、テレビの相撲を見ていた。まだテレビは白黒のブラウン管だった。その当時、大鵬が人気だったがじいちゃんは柏戸を応援していた。

 じいちゃんはばあちゃんの歌に合わせ踊ったという事を何度か聞いたことがある。ばあちゃんはじいちゃんのことを事ある毎に嫌いだと言っていたが、嫌いならば10人も子どもは作らないだろう……と思う。