昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

ばあちゃんと僕

 僕のばあちゃんは明治生まれで子どもを10人も産んだ。子どもをたくさん産んだせいなのか腰が曲がっていた。僕はばあちゃん子だったのでばあちゃんに可愛がられた。曲がった背中に乗って遊んでも怒られなかった。鼻から出た青っ洟をちり紙で拭いてくれた。子守歌もたくさん歌ってくれた。昔話もたくさんしてくれた。ばあちゃんの昔話は下ネタの話が多かった。

 小さい頃、ばあちゃんが出掛ける時はいつも一緒に出掛けた。僕は人見知りをする子だったので、ばあちゃんにくっ付いて離れなかった。よそのおばさんにはばあちゃんが好きなんだねといつも言われた。ばあちゃんの顔を見ると嬉しそうだった。

 ばあちゃんはいつも手提げカバンを持ち歩いていた。カバンの中にはいつもお菓子が入っていたが、そのお菓子は刻みタバコの葉とホコリにまみれていた。でもタバコの香りがするが美味しかった。いつもきょうだいの中で一番先に僕がお菓子を貰った。ばあちゃんの手提げカバンにはスルメも入っていた。僕は小さい頃からスルメが好きだった。僕はスルメが固く噛めなかったので、ばあちゃんに噛んで柔らかくしてもらい食べた。そのせいか僕の歯のほとんどはサイボーグになってしまった。ばあちゃんの虫歯菌を相続してしまったのだ。

 ばあちゃんは煙管で刻みタバコを吸っていた。銘柄はききようだった。鼻から出す煙りは面白かった。お酒も好きだった。じいちゃんと一緒に焼酎を飲んでいた。ばあちゃんは歌うことが好きだった。ばあちゃんは大勢の人前でも平気で歌を歌っていた。いつも歌うのは即興で作った曲だった。

 人見知りの僕は凄いなと思った。僕はこんなばあちゃんに育てられた。