昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

遠足と僕

 中学2年生の時に転校生Mさんが来てからクラスの雰囲気が変わった。今までどちらかというとクラスは内向的だったが、前向きに新しいことに挑戦する思考に変わった。それまでの遠足は農家さんの原っぱだったり発電所だったり大滝だったりと……いつもの恒例地に遠出をして持参した弁当を食べて終わりだった。ここで僕らは新しい試みをした。過去にどのクラスもしたことがない遠足を企画した。遠足に行った先でバーベキューをすることである。僕ら10人は担任のE先生を説得し校長先生の許可をもらった。

 野菜はほとんどの家が農家なので家で調達した。おにぎりは各自持参した。肝心の肉は我が町には肉屋がないので、肉は農協に事前に注文し前日引き取りに行った。

 学校の用務員のおじさんから借りたリヤカーに食材や荷物を載せ男子が率先してリヤカーを曳いた。国道を歩くので車の監視をするしっかり者やワイワイガヤガヤと後からついて来る者、歌を歌う者などそれぞれが思い思いに今までの遠足とは違う感覚を楽しんでいた。服装は我が町中学校定番のジャージの上着にGパンだった。

 遠足先はプール近くの沢だった。川の水がきれいなのでそこで女子が食材を調理した。男子は枯れ木を集めかまどを作り火を熾した。香ばしくほどよく焼けた肉、新鮮なピーマン・玉ねぎ・ナス・しいたけ・トウモロコシなどなど。もちろんビールはなかったがそこでのバーベキューは最高だった。E先生はこっそりビールを飲んでいた。僕らはコカ・コーラとファンタオレンジだった。

 ギターを持参し皆んなで吉田拓郎井上陽水・ガロ・あのねのね・チューリップ・NSPなどの曲を歌ったことを覚えている。