昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

越冬野菜と僕

 僕の町は北国なので、冬の寒さが厳しく、雪が多かった。冬の間、農作業ができないので雪が降りはじめる秋に土の中に野菜を埋めて保存した。今は「雪下野菜」「雪中野菜」ともいわれるが僕の子どもの頃は周りにスーパーなどはなく北国地方の知恵としてどの農家も保存していた。
 僕は母と一緒に越冬する野菜「大根、人参、じゃがいも、キャベツ、白菜、ごぼう」を藁で囲い土を盛って冬に備えた。

 野菜が足りない頃に母親から野菜を取って来るように言われた。雪の多い年は一面真っ白で雪の凹凸が少なく、はたしてどこに埋めたかはっきりしないことが多かった。目印を立てたらいいのにといつも思ったが囲う頃にはいつも忘れた。雪を掘り返して食べた野菜は瑞々しく甘みが強く美味しかった。

 でも時期が外れると独独の土の匂いが野菜に染み付いた。僕は食べることが出来なかった。