冬、我が家ではストーブのない部屋ではマイナスになった。建付けの悪い窓の隙間から雪が入り込み、寝ている頭にも雪が降り積もった。当然、寝る時は暖房が必要だった。暖房がないと寒くて眠れなかった。
僕の幼い頃、電気毛布はまだ我が家にはなかった。手っ取り早い豆炭のあんかだった。四角く丸い豆炭を紙袋から取り出し、火ばさみでストーブに入れる。豆炭を半分くらい真っ赤になるまで焼きあんかに入れた。あんかの中央には豆炭を入れる穴があり、まわりは石綿で囲まれていた。あんかを閉めて母さん手作りの布袋に入れ布団の足元部分に置いた。僕はあんかをまず背中部分に置き寝る時には足元にずらした。そうすると全身が暖かった。
あんかは寝ている間知らずに火傷をした。あんかで火傷をすると脛に火傷の痕が残った。足の脛の部分に火傷の痕があるとあんか火傷の証だった。
僕の同級生のほとんどは証を持っていた。