昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

しもやけと僕

 我が町は冬になるとマイナス20°以下になることがしばしばあった。家の中でストーブの近くにいてもストーブの反対側は寒かった。我が家は木造の古い造りなので部屋の中もマイナスになることがあった。

 学校までの4キロの行き帰りは歩きで国道の側の川からは毛嵐がもうもうとあがっていた。雪道を歩くとキュキュと雪が鳴いていた。

 冬の靴は長靴だった。当時の長靴は防寒対策が施しておらず濡れないだけのものだった。靴下側で対応しないといけなかった。毛糸の靴下を二重に履いてもいつも足の小指がしもやけになった。しもやけになると治りがけに痒くなった。

 明治生まれのばあちゃんはしもやけになったところの血を出すと早く治ると言っていた。本当かどうかわからなかったが、僕はばあちゃん子だったのでばあちゃんの言う通りにした。消毒した積もりだと思うがばあちゃんは縫い針をまず舐めた。そしてしもやけになったところを針で刺し、指で絞って血を出してくれた。

 ばあちゃんの言っていることが本当だったのか治りがけは痒くはなかった。