昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

カップヌードルと僕

 僕が中学2年の時。社会人になって都会で就職した兄ちゃんがお土産でカップヌードルを買ってきた。我が町には袋麺はあったがまだカップヌードルは売っていなかった。もちろん袋麺は農協で箱ごと注文したものだった。袋麺は大手メーカーではなくラーメン模様の袋に入った油焼けした麺だった。

 僕は初めてカップヌードルを見て感動した。田舎にはない洗練された形でしかもプラスチックのフォークがついていた。僕は麺をフォークで食べるなど想像だにしなかった。箸と匙しかない我が家に新しい文明が入って来た気分だった。家族皆なびっくりしていた。蓋を捲り乾燥した海老やネギそして黄色い玉子が見えた時も感動した。鉄瓶でお湯を内線まで入れ3分の時間をきっちり計った。いつもなら箸で食べるがフォークで食べたカップヌードルはひと味違っていた。僕は夢中になって最後の汁一滴まで大事に食べた。初めて食べたカップヌードルは美味しかった。カップとフォークは綺麗に洗い大事に取って置いた。

   

 僕は学校で同級生に誇らしげに報告した。

 皆なは羨望の眼差しで聞いていた。