昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

クリスマスと僕

 我が町にはクリスマスだからといってツリーを飾ったりプレゼントを貰ったりする習慣がまだなかった。次の正月がメインだったので特にワクワク感はなかった。でも年に1度だけケーキが食べられた。

 我が町にはケーキ屋さんが無かった。だから農協にケーキを注文した。事前にチラシが配られ僕と姉ちゃんの意見で決めた。種類はバターチョコの1種類なので大きさだけを決めた。ケーキは普段食べることが無かったので一番大きな2段になったケーキを注文した。ケーキの中にはジャムがアクセントとして入っていた。ケーキはクリスマスの1週間以上前に届いた。クリスマスまでケーキは仏壇の前に置かれていた。僕は学校で習ったのとちょっと違うのではないかと思ったが、貰い物や初物はまず仏壇にと教えられていたので納得していた。

 その当時、ケーキにはおまけにクリスマスソングのソノシートが付いていた。曲目はジングルベルときよしこの夜だった。ケーキを食べる時に家の電気を消し、ろうそくの灯りでレコードプレーヤーから流れるジングルベルを聞いた。じいちゃんやばあちゃんは何で電気消すんだと文句を言っていたが、少しでもクリスマスの雰囲気を出したかった。ソノシートは薄いので少しの拍子で針が跳んだりしたがクリスマスの雰囲気をあじわうことができた。でも食事のメニューはいつもと変わらず煮付けなどの和食だった。ケーキは大事に何日間かに分けて食べた。最後には固くなっていた。でも美味しかった。

 母さんにサンタさんが来るから枕元に靴下を置いておくんだよと言われた。朝起きてみると靴下にキャラメルと新しい鉛筆2本が入っていた。とても嬉しかった。