昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

ポチと僕

 我が家には犬がいた。名前はポチ。白毛のメスである。僕が小学5~6年生の頃、父が何処からか貰ってきた。中型のガッチリした体躯、三角形の小さな「立ち耳」、巻いた尻尾、目尻が吊り上がった三角形の小さな目、野性味が強い、我慢強い、粗食に耐える、寒さに強いなどなど。父は雑種だと言っていたが今思うと北海道犬だった…と思う。近所の犬は人懐っこいがポチは他人に対しては狂暴だった。他人が家に来ると吠えまくっていた。我が家は何も盗られる物がなかったが、ポチは番犬の役割を見事にしていたと思う。

 昔は今と違い屋外で犬を飼っていた。我が家も例にもれず屋外で飼っていた。車庫の隅に小さくなって飼われていた。兄が余った木材で犬小屋を車庫の横に作った。兄はキッチリした性格なので犬小屋もポチが満足する出来栄えだったと思う。喜んで犬小屋入りなかなか出て来なかった。犬小屋にはワラを敷き詰める。これが大変だった。新鮮なワラに早く入りたいとポチが邪魔をした。ワラの敷き替えは僕の役割だった。ポチの食事の準備や散歩も全て僕の役割だった。僕がポチの食事を作るので人間が食べた余りものを出していた。時代がそうだったが、今思うと申し訳ないほどの粗末な食事だったと思う。

 散歩用のリードも今のようなオシャレなリードではなく犬用鎖だった。もちろん首輪もなくそのまま鎖を首に巻き付けていた。ポチと田んぼのあぜ道を歩きながら陽が暮れていくのを見るのが好きだった。

 ポチとは色んな遊びをした。ポチは水が大の苦手でたまに遊びながら体を洗うと怒って嚙みついてきた。僕は叱りつけながら体を洗ってあげた。冬は雪が多かったので新雪にポチを放り投げた。ポチは雪に埋もれて方向を失い動けずワンワンと鳴いていた。僕が迎えに行くと喜んで尻尾を振っていた。僕とポチは大の仲良しだったと…勝手に思っている。

 

 ポチと遊ぶ姿を遠くでじっとチョン子が見ていた。