昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

プールと僕

 我が町は凄い。学校の父兄が総出で手作りでプールを作ってしまう。恐るべき父兄のパワーだ。プールは学校から3キロ程離れたところで、国道から林道を1キロくらい入った沢の中にある。近くの川から水を引き入れ作られたプールだ。(我が町についての地図を参照)学校の近くに何故作らなかったのか疑問があるが。水はタダなので大人の事情としておこう…と思う。

 当初はただ掘っただけの石がむき出しのプールだった。当然水は土砂で汚れていた。僕が中学生になる頃は大幅に改良された。肥料袋に土砂を詰めそれをプールの内側に積みながら、最後に農業で使う厚手のビニールを張って完成させた野趣あふれるプールだ。川から水を引き入れるのでプールの水は異常に冷たかった。皆んなの唇はムラサキ色になり体がブルブル震えていたのをお憶えている。周りが山なので色んな虫がプールの水に浮かんでいた。もちろんプールから上がるとブヨやメクラアブの集中攻撃を受け、刺された箇所は何か所もあった。プールの中も冷たくて大変、上がっても虫に刺されて大変だった。プールの水深は1m以上あり中学生の僕でもつま先立ちで立たないと大変だった。小学生は溺れる子もいたが幸い事故にはならなかった。

 同級生には泳げない子もいたが、僕は犬かきが得意だった。一生懸命泳いだが残念ながら評価にはならなかった。横泳ぎや背泳ぎも好きだった。顔を水につけないので好きだった。要は息継ぎが出来なかっただけである。

 学校からは皆歩いて行くので一日がかりのプール学習となり、家がプールに近い僕は現地解散になりラッキーだったが、その分家の手伝いが待っていた。娯楽がないので夏休みのプールは小中学生には大盛況だった。しかし何故か大人はプールに来なかった。


 学校のプール学習は夏の海浜学校へと繋がっていく。