昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

チョン子と僕1

 我が家にチョン子という黒をメインにした三毛のメス猫がいた。物心ついた時から家にいたようなので、その時はすでに相当な歳を取っていたと思う。チョン子は人の話すことを理解していた…と思う。だてに歳を取っていたわけではない…と思う。
 ひどい田舎で遊ぶ友達が周りにいなかった。独りで遊ぶかチョン子が遊び相手をしてくれた。いつも一緒で必ず後をついて来てくれた。幼い僕に対して大人の対応をしてくれたと勝手に思っている。僕を子どものように思ってくれたのかはわからないが。
  昼寝の時には枕代わりにしても嫌な顔をせず黙って一緒に寝てくれた。寒い日にはチョン子の前足と後足を両手で掴みマフラーのように首に巻いて暖を取った。柔らかい毛並みと温かい体温がとても心地よかった。チョン子は何の抵抗もすることなく寧ろ顔をざらざらした舌で舐めてくれた。それが幼い僕にはくすぐったかったが、温もりと愛おしさを感じた記憶がある。
 ただ機嫌の悪い時は頭をガブリと嚙まれたことが何度もあった。