昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

お正月と僕

 我が家では初詣に行く習慣がなかった。習慣がないというよりも行くとその年あまり良くないことが起こったので行ってはダメだということになった。だが僕の家には神棚があり家族全員正月三が日毎朝お参りをし食事をお供えした。神様に過分なお願いをしてはいけないということなのか、幼い僕にはわからなかった。

 毎年、正月には本を買ってくれた。小学〇〇生という月刊誌だった。正月号の本には沢山の付録が付いていた。年に1回買ってもらったので大事にその本を読んだ。付録は着せ替え人形や工作物だった。

 奴凧も買ってくれた。奴凧は父さんがA市で買ってきてくれた。兄ちゃんと一緒に新聞紙で凧の足を作った。長い方がバランスが良かった。吹雪で飛ばされたり電線に引っかかったりしたが楽しかった。

 それともうひとつ百人一首だった。
男達の酒盛りの横で、正月挨拶に来た親戚も混ざり百人一首をした。木札を前に大人も子どもも真剣だった。幼い僕は2~3首しかわからなかった。その札を取るために必死だった。ひと札ごとに歓声と爆笑が上がり百人一首は大盛り上がりだった。

 百人一首は我が家の正月の楽しみのひとつだった。