昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

バスと僕

 昭和30年代。僕が小さい頃、僕の町はTバスとA電気軌道の2バスが通っていた。バスはボンネットバスだった。

 僕はばあちゃんと隣のA市に行くためにバスに乗った。バスには女性の車掌さんが乗っていた。制服を着た車掌さんは切符を切るために通路を上手に歩いていた。綴りの切符をパンチで切りお金と引き換えにお客に渡していた。首からさげた大きながま口のような車掌バッグに釣銭を入れていた。切符は路線のバス停が全て載っており、乗ったバス停と降りるバス停をパンチで穴をあけていた。道路はまだ舗装されていなかったので轍があり、狭い道で大型のトラックとすれ違う時はバスから降り、笛を吹いてバスを誘導していた。

 僕は車掌さんが軽やかに切符を切るパンチの様子と音に何故か釘付けになった。