昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

T君と僕1


 僕が中学生の1年の頃に1つ先輩のT君が転校して来た。T君は小柄だが悪ガキぽいところがあって中学生の僕には憧れる一面があった。

 特に凄いと思ったのは自転車で自在にウィリー走行する事だった。僕はせいぜい10mくらいが最高だが、T君は100m以上もスタンドをガラガラと音を立てて走行することが可能だった。周りの皆も羨望の眼差しでT君を見ていた。学校の帰り道が同じ方向だったので一緒に帰ることが多く、ほぼ毎日一緒に帰った。国道の帰り道に何度も教えてもらったが僕は上達はしなかった。しかもT君の自転車は大きな荷台のついた頑丈な重い父さん自転車だった。それでウィリー走行する様は対向車の運転手もビックリした顔で見ていた。

 当時、5段切替のスポーツタイプの自転車が人気だった。T君の自転車のような大きな荷台のついた実用車は、僕の周りでは父さん自転車と言っていた。