テレビのアンテナと僕
僕の町は田舎だったのでテレビの電波が非常に弱かった。町の中心部はそこそこNHKと民放2社は映っていた。町の中心部から遠く周りを山で囲まれた我が家はNHKはそこそこ映っていたが、民放は1社だけで非常に電波が弱かった。特に冬はテレビの映りが天候に左右される場合が多かった。
学校でテレビの番組が話題になると僕は気まずかった。NHKの番組には何とか付いていけたが、民放のアニメやドラマには適当に話しを合わせていた。
アンテナは家から50~60m離れた国道側に設置していた。冬に吹雪になると画面が忙しく上下に動いたり、ザーザーと砂あらしになったりまともに見ることは出来なかった。唯一のNHKも冬の吹雪には敵わず上下運動と砂あらしの連続だった。
我が家は白黒テレビだった。年越しの紅白歌合戦を楽しみにしていた。毎年必ず紅白歌合戦の始まる時間になると天候が荒れた。紅白歌合戦を見るために僕と兄ちゃんは家族の期待に応え、アンテナを動かしどうにか映るように必死だった。家から姉ちゃんが映ったかどうか大声で叫んでいた。たまたま近くを通りがかった近所の人に聞かれてしまい恥ずかしかった。
この状態が小学6年生まで続いたが、その年待望の共同アンテナが設置された。