昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

似顔絵と僕

 僕の小学生の頃の小さな自慢をひとつ。

 僕の町は田舎だったので、新聞は隣町の新聞屋さんが郵便局に頼み郵便配達員が配達してくれていた。地方紙の新聞でいつも昼過ぎに届いた。

 日曜日の新聞には少年少女日曜版があった。少年少女が描いた絵画や書道、マンガなどが毎週選ばれて掲載された。

 当時、チャールズ・ブロンソンは映画やコマーシャルで大人気だった。僕はハガキでチャールズ・ブロンソンの似顔絵を描いて応募した。似顔絵の作品は必ず「黒」で書いてくださいとの注意書きがあった。僕の家にはペンも黒インクもなかった。あるのは墨と筆だった。僕はカレンダーや包装紙の裏に筆で何度も練習したが上手くいかなかった。そこで僕は割り箸を削りペンの代わりにした。割り箸に墨を付けて描いた似顔絵は選ばれ少年少女日曜版に掲載された。僕は嬉しくて家族はもとより学校で先生や皆なに見せた。

 掲載された記念品は新聞社のロゴが入ったボールペンだった。僕は掲載された喜びでその日はしばらく寝ることが出来なかった。