昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

初コンサートと僕

 僕が中学2年生の時に、F市の高校に通っていた兄ちゃんがF市文化会館のコンサートに行きたいと言い出した。聞けばコンサートの出演者は南沙織さん、石橋正次さん、青い三角定規だった。

 当時、南沙織さんはアイドルで「17才」「潮風のメロディ」「ともだち」「純潔」などのヒット曲を連発していた。石橋正次さんは俳優であり歌手としても「夜明けの停車場」が大ヒットしていた。青春ドラマ『飛び出せ!青春』の主題歌で大ヒットした「太陽がくれた季節」の青い三角定規など3万人のF市に来るような出演者ではなかった。ましてや田舎の町で過ごす僕が直接見ることができない存在だった。

 僕たち兄弟は必死に両親にお願いしチケットをやっと手に入れることが出来た。

 当日、F市の文化会館は超満員で大ホールの通路まで人が溢れかえり身動きができない状態だった。僕は人込みをすり抜けステージの前の方までなんとか行くことができた。ステージで歌う南沙織さんの瞳はキラキラ輝いていてすぐに虜になった。ステージ前は握手を求める人たちで一杯だった。

 僕はオリンパスペンで1枚だけ南沙織さんの写真を撮った。