昭和の時代と僕+

昭和の時代。僕のまわりで起こった些細な出来事を手当たり次第に綴った。

小学校の学芸会と僕

 僕の学校の学芸会は町の一大イベントだった。生徒の家族はもちろん生徒が在校していない家族も観に来た。毎年町民が楽しみにしている行事だった。親たちは朝早くからご馳走を作り御重に詰め綺麗に着飾って観に来た。着物を着ている人もいた。御重に詰めたご馳走は昼に学校の体育館で家族皆んなで食べた。ご馳走は隣の人にあげたり貰ったり体育館はギュウギュウのすし詰め状態だった。巻ずしにいなりと煮しめが定番でそれに家庭自慢のおかずが付いた。赤飯を持ってきている家庭もあった。

 僕の学校は小中学校なので、学芸会は小学1年生から中学3年生まであった。生徒数が少ないので僕の出番が3~4回あった。そうしないと早く終わってしまうのだ。毎年学年の出し物は劇・音楽発表・踊り・朗読だった。その全てに出ないといけなかった。稲刈りが終った秋に学芸会があるので、夏休みが終わり学芸会に向けて毎日練習した。

 僕は劇や踊りは割りと好きだったが、音楽の楽器演奏はダメだった。楽器はカスタネットやトライアングルだったらまだ良かったが、ハーモニカやリコーダーは最悪だった。僕は隣の人の指の動きを横目で見ながら吹いている振りをするのに精一杯だった。音を出すと違う音がしたので吹いている振りをした。誰にもバレていないと思った。

 いつも午前の部の最後の出し物は小学6年生の劇で、学芸会の最後の出し物は中学3年生の劇だった。さすが中学3年生の劇は凄いなと思った。皆んなから大きな拍手を貰っていた。

 家に帰ると姉に「あんた楽器吹いていなかったよね」と言われた。

 完全にバレていた。